FF7Rにおけるジェシーのヒロイン化についての考察【FF7R 考察・感想】

ついに先日、待ちに待った『FINAL FANTASY VII REMAKE』(以下「FF7R」という。)が発売された。

私も発売日にゲームを購入し、40時間程のプレイで無事クリアに至った。

20年以上前に私の青春にぶっ刺さったあのゲームを、こんなにも細かく美しいグラフィックで、更にはボイス付きでプレイすることができるなんて考えてもいなかった。圧倒的なビジュアルのミッドガルという架空都市に酔いしれ、原作から追加された膨大な情報量による世界観の膨らませ方に満足し、一気にあの頃のワクワク感が蘇ってきた。

そして何より、自宅に引きこもらざるを得ない昨今の状況下で楽しい時間を過ごさせてくれる素晴らしいゲームだった。

そんなFF7Rにおいて、原作プレイ済みのユーザーが最初に思う、圧倒的に原作と異なる点はこれではないだろうか。

ジェシー…めっちゃかわいいやんけ。

(あと、バレットがテンションのおかしいヤバめの環境活動家おっさんで辛い。)

個人的にはジェシーにFF7R前半のMVPをあげたいわけだが、本記事では、ジェシーがメインヒロイン格へ大出世を果たした理由を考察してみる。

ヒロイン化するジェシー

原作でのジェシーも「う・か・つ」が口癖の快活ドジっ子爆弾魔お姉さんとして、決して人気が無かったわけではないと思う。しかし一部ファンを除いては、ゲームをクリアする頃には忘れてしまっているモブ的存在でしかなかったのではないたろうか。

FF7Rの序盤、そんなジェシーとクラウドの絡みが多くなっているので「お、ジェシー出世したな~。」くらいに考えていたのだが、ジェシーの実家訪問イベントのあるCHAPTER 4で、そのヒロインっぷりに度肝を抜くことになる。

例の『バイクチェイス後の会話』と『特別な報酬』だ。

え、いやジェシーさんマジか?こんな所で抱き着かれても…ここはミッドガルだぞ。おれには23年前から心に決めた幼馴染の巨乳ミニスカ格闘ヒロインがいるのに見られでもしたら…いや、悪くない。むしろ良い。なるほど…これが世にいうFF7Rのギャルゲー化か。

にしてもジェシーさんちょっと積極的すぎやおまへんか?アカン。アカンで。プレイヤーであるワイ達はそんな積極的なお姉さんに免疫力はないんや。惚れてまう。

FF7Rジェシーの“イケメン好き”という設定も妙なリアリティを醸し出しているように思う。

この設定はある程度の軽薄感を与えてくるのだが、いち早くクラウドにアプローチをかけてきた理由はこれで説明できる。しかも、最終的にはピザの具についての知識のないクラウドに対して『成人男性の推しがかわいい』というオタクマインドを発揮する程度にはクラウド沼にはまってしまっているのだ。良い。

また本作では、ジェシーの決め台詞が「う・か・つ」から「なんつって」に代わっている。

踊る大捜査線のいかりや長介よろしく、ちょっとおっさん臭い。この照れ隠し感にかわいさを感じるか、おっさん臭さに親近感を感じるか、はたまた狙いすぎでちょっと引くか、諸刃の剣感はある。

だが、悪くない。

ジェシーが格上げされた理由

原作でのジェシーは、開発スタッフのお気に入りキャラだったこともあり、細かい設定も存在したらしいが、その設定が使われることはなかった。それは、ジェシーが目立ちすぎると、ある問題が発生するからだ。

そう、エアリスとのキャラ被りだ。

(全然キャラ被ってないやんけ!という声も聞こえてきそうだが、積極的な快活お姉さんは一つの物語に一人までが定石だ。)

物語中、クラウドの過去回想シーンとして母親に『ちょっとお姉さんであんたをグイグイ引っ張っていく』女性を薦められる下りがある。

原作をプレイしている限りにおいては、ここでの『ちょっとお姉さんであんたをグイグイ引っ張っていく』枠のキャラクターはエアリス以外にはありえない。しかし、FF7Rではエアリスでなくジェシーを想像してしまった人も多いのではないだろうか。

そこがブレてしまうと、その後の物語の印象が変わってしまうことになりかねないのに、そんなリスクを冒してまでもFF7Rではジェシーを『非戦闘員の仲間の一人』からヒロインに格上げさせて、ギャルゲー化への道を邁進した。

ティファ&エアリスという(個人的には綾波レイ&アスカにも匹敵する)最強ヒロインコンビを有するFF7をリメイクするにあたって、何故エアリスとキャラ被りする可能性のあるジェシーをヒロイン化させる必要があったのだろうか。

それは、本作の物語がミッドガル脱出時点までで区切られた内容だったからに他ならない。

原作プレイ済みの方ならおわかりいただけるだろうが、FF7におけるヒロインの立ち位置としては『ティファ=勝ちヒロイン』『エアリス=悲劇のヒロイン』だ。だが、ミッドガル脱出時点ではティファを勝ちヒロインとは呼べないし、エアリスが悲劇のヒロインになるのももっと先のお話だ。

そこで大きく舵を切るために目を付けられたのが、序盤でクラウドと共に行動する時間を長くしやすいジェシーというわけだ。

まずはヒロインの勝ち負けに決着がつかなくてもエンタメ性が損なわれないように、混沌を極める3つ巴ハーレムギャルゲー路線を目指し、ジェシーのクラウドへの興味と積極性をリミットブレイクさせる。これで世のプレイヤーは高次元フルCGギャルゲーを存分に楽しめたことだろう。

さらに類稀な積極性でプレイヤーにジェシーのことを好きにさせておいた上で、七番街プレートの崩落により亡き者とする。別れの際「最後の話し相手、クラウドか。うん、悪くないぞ。」とクラウドの口癖を引用してくる気の利かせっぷり。これで悲劇のヒロインの完成だ。

そう、ジェシーのヒロイン化とは『序盤で死ぬ非戦闘員の仲間の一人』からエアリス存命により空席となった『悲劇のヒロイン』枠への大出世だ。こうして物語に重み付けがなされていく。ジェシーのヒロイン化はFF7Rの面白さにとっては必要不可欠だったのだ。

そんな積極的なメインヒロイン格ジェシーなんて原作には存在しなかったぞ!運命が変わってしまう!という理由でフィーラーに消されなかったのはせめてもの救いか。なんつって。

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