話数的には折り返し地点を迎えようとしている魔進戦隊キラメイジャーでは、9週連続の企画となる「キラメイ音楽祭」と称したキャラソン企画が始まった。第23話ではマブシーナこと水瀬いのりさんの歌う『クリスタル・シグナル』が劇中で、更にはエンディングで披露された。
30代以上のオタクなら確実に気づいたであろうがこの曲…誰がどう聞いてもマクロスFの『星間飛行』のパロディだ。
このパロディが実に素晴らしかったので、音楽的な部分を含めてその元ネタとの関係を考察・解説をしてみる。
※決してパクリがどうこうとか言いたいのではないので悪しからず。
目次
『クリスタル・シグナル』と『星間飛行』の劇中での扱い
まずはこの二曲の劇中での扱われ方を確認しておく。
マブシーナのキャラソン『クリスタル・シグナル』
キラメイジャーとキンコ邪面の戦いを見てしまったマバユイネ王妃は、オラディン王の身に何かあったのではと心配する。そこで、キラメイジャー達はこの戦いがマバユイネ王妃が好きなクリスタリアの演劇『ジジョクルニ』の地球公演だと誤魔化す。
『クリスタル・シグナル』はその戦いの最中、演劇の名場面であるショータイムでの演出として、マブシーナによって歌われる。
幼い頃は恥ずかしがり屋だったマブシーナの成長を象徴する楽曲となっている。
ランカ・リーによる劇中歌『星間飛行』
ご存じ、マクロスFは2008年に放送されたアニメだ。その第12話でヒロインのランカ・リーが、ゼントラーディの反乱の最中に登場し、たった一曲のゲリラライブで反乱を鎮圧するという伝説を作った曲が『星間飛行』だ。
ちょうどニコニコ動画の全盛期とも重なり、そのコメントシステムとの抜群の相性から弾幕とともにめちゃくちゃ盛り上がった。
(弾幕って言葉がもはや懐かしい…。ニコニコに入り浸っていたなあ。)
パロディ検証
この二曲、誰がどう聞いても似ているわけだが、その類似点を要素ごとに確認してみる。
音楽的類似点
音楽的類似点としては以下の2点が大きな要素を占めているのではないだろうか。
サビのコード進行
圧倒的に似ているのはサビなので、そのコード進行を耳コピしてみた。※あくまで個人的な耳コピなんで間違ってるかもしれません。
ほぼ一緒やんけ。
特徴的なのは7小節目からの下降クリシェ(ベース音が「ド→シ→シ♭→ラ」と下降していく進行)でしょうか。この部分が完全に一致していることで、聴いた瞬間に「一緒じゃんwwww」となった。
ぜひ、クリスタル・シグナルのサビで星間飛行のメロディを歌ってみてほしい。完全に違和感なく歌いきることができる。
リズム
まずはBPM(テンポ)を確認してみる。
- クリスタル・シグナル:131
- 星間飛行:132
ほぼ一緒やんけ。
リズムパターンとしては、“タン!タン!タン!タン!”と小気味良いスネアドラム(小太鼓)が拍の頭にくるパターンが両曲のAメロやサビなどでの共通項になっている。
更に、クリスタル・シグナルの左チャンネルから鳴っている「タタタッタタタッ」と繰り返すリズムギターのフレーズもそれとなく星間飛行“らしさ”を演出している。
ここまでくると、メロディが違っても雰囲気がかなり似る。
言葉遊び
クリスタル・シグナルのサビ前の「クリスタル☆」や、サビ後の「キ~ラキ~ラ~」の連発などの、元ネタを全く隠す気のない、むしろ見てくれと言わんばかりの言葉遊びにはTVの前で思わず爆笑せずにはいられなかった。
わざわざ説明するまでもないだろうが、このパロディはキラメイジャーの“キラ”と星間飛行の「キラッ☆」という共通の音から着想を得たのだろう。さらに、マブシーナの持つ特異な異世界アイドル感をかけ合わせるなら、もうこれをやらずにはいられなかったのではないだろうか。
仕掛けたスタッフのニヤニヤ具合が目に浮かぶ。
劇中で歌われるシチュエーション
このパロディを素晴らしいものたらしめているのは、両曲ともが『戦闘中に歌姫が歌う』曲という点だと思う。
結果、ランカ・リーの存在は全宇宙に知れわたり、マバユイネはマブシーナの成長を知ることになる。
ただただ音楽的に似通わせるだけでなく、ストーリー上のシチュエーションまで合わせてくるところにリスペクトがあり、スタッフの愛とこだわりと遊び心を感じる良いパロディになったのではないだろうか。
最後に
「クリスタル・シグナル」がエンディングとして流れた直後、ガルザ様の「おれの歌を聴けえ!」で完全にとどめを刺されたwww
いやーこういう遊び大好き。キラメイジャー本当に楽しいですね。
ランカ・リーの歌声はクリスタリアまで届いており、クリスタル・シグナルはその後に各国でアレンジされたバージョン違い…という裏設定で頼む。