ジオウ『ブレイド編・アギト編』の“濃さ”について【仮面ライダージオウ 考察・感想】

仮面ライダージオウは、第31話「2001: めざめろ、そのアギト!」までの放送が終了し、仮面ライダーアギト編真っ只中という状況だ。白ウォズを中心とした未来編が一段落し、ブレイド、アギト、と再びレジェンドライダーが続けて登場している。 更にスピンオフという形で『RIDER TIME 仮面ライダー龍騎』の配信もあり、初期平成仮面ライダーファンにとってはたまらない展開だ。しかも、ブレイド編・アギト編はその“濃さ”において今までのレジェンドライダー登場とは一線を画すものになっていた。なんせめちゃくちゃ濃厚なのだ。ほんとね…毎週尊さが臨界点を超えそうになる。明らかに物語前半でのレジェンドライダー登場と質そのものが変わってきているので、そのことについて考えてみた。

ちなみに、この文章はただの仮面ライダーファンが妄想をうだうだと語っているだけの文章なので悪しからず。何故わざわざそんな駄文を精製するのかって?好きだからだよ!

ブレイド編・アギト編の“濃さ”とは

ブレイド編・アギト編(更にはRIDER TIME 龍騎も含めて)はなぜ“濃い”と感じたのだろうか。また、ジオウの物語前半のレジェンドライダー編との違いは何だろうか。

それは、各レジェンドライダー本編最終回後の続編として描かれていたことだ。ジオウは本来、過去でアナザーライダーが出現したことにより仮面ライダーの力が消え、現代では仮面ライダーが仮面ライダーで無くなってしまっている世界…という状況下のストーリーだったはずだ。ゆえに、各レジェンドライダーの最終回など存在しない別次元の世界での物語になっている。しかし、ブレイド編では剣崎と始はジョーカーとなっており、アギト編では翔一君はアギトのまま料理人として生きていた。

これはもはや、ジオウの世界観にレジェンドライダーが登場しているというよりは、レジェンドライダーが1年間の放送を終えて作り上げた極太の世界観の上にジオウが登場しているといってしまった方が近いように思う。これが“濃さ”の理由だ。

仮面ライダー4号が555の続編のように感じたり、平成ジェネレーションズ FOREVERが電王の続編に感じたのも同じような理由だ。

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このような構造になっている1番の原因は、アナザーライダーを生み出すのが、過去ではなく現代になっているということだ。それを行っている白ウォズやタイムジャッカーの意図は今の所不明。レジェンドを変身させるための演出上の理由と言ってしまえばそれまでだが。

アナザーライダーが生み出されたら、その仮面ライダーは現代で消えるのでは?という疑問は残っているのだが、消えるまでのタイムラグがあるだけでそのまま放っておくと消えていたのだろう、解釈している。

ジオウのルールを破壊するジオウツー

ジオウの世界では、アナザーライダーは同じ仮面ライダーの力でしか倒せない。そのために、ブランクのライドウォッチを過去で仮面ライダーに渡しておき、現代で回収してから倒す必要があった。これが仮面ライダージオウの敵を倒すためのルーティーンだったはずだ。ほんとややこしい。

まじでコレ。

しかし、仮面ライダージオウという作品はジオウツーの登場により自らそのルールを破壊した。ジオウツーに変身すればレジェンドライダーの力を借りることなく、アナザーライダーを撃破可能になってしまった。世界の破壊者も真っ青の世界観の破壊具合だ。この展開には正直びっくりした。

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レジェンドライダーの世界へ踏み込んでいくジオウ

では何故、ジオウツーにより今までのルールを取っ払いにかかったのだろうか。それはジオウが3シーズン目に突入し、ジオウの魅力を1番において物語を展開しなければならない期間が終わったからだと思っている。ここまでの展開でジオウの世界観を認知してもらうことができ、ソウゴ、ゲイツ、ウォズ達を始めとするキャラクターの魅力をわかった上で視聴してくれる状況になった。

しかし、物語も中盤そこそこに差し掛かり、中だるみを防ぐべく刺激を足していかなければならない…。そこで、話に厚みをもたせるためのレジェンドライダー登場だ。しかも、ルールを破壊して物語の展開の自由度を上げて。

ジオウの基盤がしっかりできている今なら、多少ジオウの世界から足がはみ出てもいける…要はブレイドやアギトの世界観の上でジオウの物語を展開できる!となったのだろう。特に、オーマの日を乗り超えたことでソウゴ、ゲイツ、ウォズの関係性が安定し、ジオウのストーリー展開に影響されにくい今が大チャンスだからこそ、アギト編はあそこまでアギトらしくできたのではないだろうか。G3の訓練シーンに始まり、暗闇からベルト光らせて現れる翔一くん…完全にアギトだこれ。

初めからこの展開が見たかったという欲望

もちろん、ブレイドの美しい最終回に続編を作るのは蛇足だろ…など様々な意見があるだろうが、過去の仮面ライダーの思い出をたくさんもっている大人視聴者にとっては、最近の展開は嬉しいのではないだろうか。なんなら初めからこの濃度でレジェンドと絡むジオウが見たかった…と思ってしまう。

しかし、この作品は仮面ライダージオウだ。特におもちゃの売上に大きく関わってくる序盤の展開ではジオウの魅力を1番において物語を構築しなければならないのは当然。それに、序盤からこの展開をやってしまうと、確実にジオウという物語が薄いものになってしまう。ソウゴとゲイツの関係性、それぞれが目指す未来、タイムジャッカーの企み等、ジオウの世界観が面白いという大前提があってこそ、レジェンドライダーの出演も面白くなっている。

同じようにレジェンドが登場する作品でいえば、海賊戦隊ゴーカイジャーでもそうだった。最初に登場したレジェンドであるマジレッドは、あくまでゴーカイジャーのキャラクターの魅力を伝えるための手伝い程度の役割での出演だった。それが回を重ねるごとにレジェンド濃度が増していき、中盤でのハリケンジャー回やジェットマン回等は思い出が詰まっている人間にとっては最高だった。しかしこれも、序盤でゴーカイジャー自身が魅力あるスーパー戦隊として育っていたからこそ、成り立った展開だと思う。

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とはいえ、物語前半で出演済の仮面ライダーが、今のタイミングで出演していたらどんなお話になっただろう…という妄想は膨らんでしまうよね。一度登場済みのレジェンドも再登場なんて展開は…無いだろうか。

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