【平成ジェネレーションズFOREVER 考察・感想】理詰めで見る感覚を超越して爆発するエモさ

正直、映画公開前日まではこんな気持だった。

面白そうな告知内容に対する期待値が高すぎて逆に不安になっていたわけだが、そんな考えとは裏腹に『仮面ライダーはテレビの中の絵空事』というメタ的なテーマを含んだストーリーが、ジオウと電王のタイムトラベルを含んだシステム上で上手くまとまっており、『仮面ライダーを愛してくれたあなたへ』というメッセージに相当しい過去最高の冬映画だった。

以下、ネタバレ含みます。

『仮面ライダーはテレビの中の絵空事』なのか?

特撮ヒーローが敵と戦っているのは、テレビの中だけでの出来事なのか?それとも特撮ヒーローは実在しており、東京近郊で起こっている実際の出来事なのか?

子供の頃、そんなことをなんとなく考えたことはあった気もするが、深くは追求せず、かっこいい仮面ライダーに憧れ、自分もそうなりたいと願い、その存在を信じていた。

『仮面ライダーはテレビの中の絵空事』

今回の映画のこのテーマを聞いた時、まさかこんなメタネタを子供達も見る劇場版で堂々と扱ってくるとは…と驚いた。

サンタクロースは実在するのか?という問題と同レベルで、子供達に向かって「仮面ライダーはいません。」とも「います。」とも語るのは難しいはずだ。

ストーリーを時系列順で振り返る

このテーマに対する答えを語るに当たって、まずはストーリーの流れを時系列で振り返ってみる。

  • 物語はスーパータイムジャッカーのティードが、2000年で九郎ヶ岳遺跡に封印されているアークルからアナザークウガウォッチを作り出し、自らアナザークウガになったことに端を発する。
  • クウガの消滅=平成仮面ライダーの消滅となり『仮面ライダーが虚構の存在(テレビ番組)となった世界』と『仮面ライダーが実在するジオウの世界』がパラレルワールドの関係となる。
  • ティードは平成仮面ライダーの復活を阻止すべく、特異点の少年シンゴを2000年で拉致し、2018年に移動して封印しようとする。また、その過程でアナザー電王が誕生する。
  • 2000年でシンゴが拉致された日、弟のアタルが誕生した。仮面ライダーが虚構の存在となった世界で育ったアタルは、2018年には高校生になっており、大の仮面ライダーファンでもあった。
  • そんなアタルに、イマジン『フータロス』が取り憑いた。彼の望みは「仮面ライダーに会いたい」という内容だった。
  • その望みを叶えるため、フータロスはイマジンの力で、ソウゴや戦兎達を虚構の存在となった世界にも一時的に存在させていた。

だいぶ端折ってはいるが、時系列だと序盤はこんな流れだと私は理解している。

この世界にライダーがいないのはスーパータイムジャッカーの仕業

この物語でのアタルの役割は、「この世界にも仮面ライダーがいたらいいな…。」と願う映画の観客の代表者の様なものだ。

いい年して部屋に所狭しと仮面ライダーグッズを並べたり、カズミンに対して「ビルドのカズミ?それともキバの音也?」と聞いてみたりする、我々と同じ目線を持ってくれている厄介な仮面ライダーファンなのだ。まあ、コイツ絶対わかってて聞いただろうな。

観客と同じ目線を持つアタル、さらにはパラレルワールドの存在が映画への没入感を増す仕組みの鍵となっており、映画の中の仮面ライダーが虚構の存在である世界=我々がいる現実の世界というように重なって見えてくる構造になっている。

つまり、アタルの世界と同じで僕達の世界にも仮面ライダーは実在しないけど、それはスーパータイムジャッカーの介入のせいでTV番組になってしまっているだけだ。僕たちにはその存在は見えないけど、元々はこの世界と一つだったパラレルワールドの方に仮面ライダーは実在するんだ!

これが本作で提示されたアンサーだ。

この回答、すごくグレーだし言葉にするのは簡単なんだけど、これを見事にストーリーで語っちゃったよ。すごい。

何より、実はヒーローは実在していて、僕達が知らないところで戦って世界を守ってくれている…と感じさせてくれるところが大好き!

このストーリーが子供達に理解できるのか?という問題は別として、ここまで満足する回答を映像で語られることになるとは思ってもみなかった。

見事にクロスオーバーした電王とジオウ

ジオウ以外にタイムトラベルする仮面ライダーといえば…当然、電王の名前があがる。この2つの作品の世界観のクロスオーバーも、今回の映画の見どころの一つだった。

このクロスオーバーは、まるで質の良い同人作品を見ているような…いや、ディケイドで見た555アクセルフォームVSカブトクロックアップのような、ファンが常々夢見ていたコラボだ。

契約者の願いを叶えて過去に飛ぶイマジン、特異点の存在、デンライナーでの時間移動などの電王のシステムと、タイムジャッカーやアナザーライダー出現に起因する仮面ライダー消失などのジオウのシステムが見事に融合していた。

仮面ライダー4号で555の新作を見た気分になった時のような…仮面ライダー電王の新作を見た気分にさえなった。

僕達の心にトドメを刺しに来た野上良太郎=佐藤健

そんな電王の世界観が懐かしくてノスタルジーに浸っていると…その瞬間はきた。東映が我々観客のトドメを刺すために刺客を送り込んできたのだ。

アナザー電王を倒しだのがウラタロスだった時点で違和感は感じたんだ。

初日の初回上映だったため、このネタバレを知るものはその場にいなかったはずだ。野上良太郎 = 佐藤健さんが画面に写った瞬間、劇場内に大人全員の「おおおおおおおおお!」という歓声が響いた。

正直、興奮でこの後しばらくの記憶がない。イマジンズと良太郎の会話の詳細を覚えていないのが悔しい。

ただ、モモタロスがこう言ったことだけは覚えている。

「お前を忘れるかよ…俺達も。」

俺もだよ!

この一瞬の興奮を今後忘れることはないだろう。

ありがとう良太郎。ありがとう東映。ありがとう仮面ライダー。


これを見越して、ネタバレ阻止のため初日の初回を見に行ったんだよ!本当に何が何でも初日の初回を見に行くことを決意した自分を褒めてあげたい。

記者会見で発表がなかった時点で一旦は諦めていたが…何かが起こりそうな気はしていた。「ジオウなら…ありえる!」と。

尊さが臨界点を超えるとは正にこのこと。

『人の記憶』がライダーを復活させる

更に物語終盤で、消えてしまった仮面ライダー達の復活に『人の記憶』という電王の根幹に関わるテーマが使用された。人々が記憶から忘れなければ仮面ライダーは存在できるのだ。

ジオウのレジェンドライダー回でも、それぞれの仮面ライダーのテーマの流用が上手いなぁとは思っていたが、ここで電王のこれか!

『人が存在するということ』についてを、過去にテレビシリーズで語ってくれたレジェンドライダーの野上良太郎、そして桐生戦兎に再び語らせるなんて…泣けるでぇ!

『仮面ライダーを愛してくれたあなたへ』というメッセージ

『仮面ライダーを愛してくれたあなたへ』

このメッセージと共に公開された本映画は前述の電王関連以外にも、たくさんの愛ある演出に溢れていた。

遺跡シーンでのクウガ風字幕、風麺や星の本棚(ここのウォズにはかなり笑った。)、ドライブ風の推理演出、戦兎と万丈のイチャイチャ、アギト・龍騎・ディケイド・ゴーストの御本人による新録ボイス、そしてラストのライダーキックエフェクトの本気演出。今まで平成仮面ライダーを見続けてきた人にとっては、ニヤニヤの止まらない1時間40分だったのではないだろうか。

「仮面ライダーを愛してくれたあなたへ?ほお、どんなもんや?」などと考えていた自分が恥ずかしい。

「とんでもない!こちらこそありがとうございます!(ジャンピング土下座)」そんな感覚。

仮面ライダーを好きで、今まで見続けていて良かったと思った。

最後に

正直、細部の説明は不足気味だったようにも思う。アナザーWの正体は誰?Wウォッチでパラレルワールドを移動した謎の力は何?フータロスって何者だったの?ティードの目的は?

しかし、そんなことは大した問題ではない。

理詰めで見る感覚を超越してエモさが爆発する最高の映画だった。

仮面ライダーファンとして「最っ高だ!」という気持ちで平成の最後を迎えることができそうだ。

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