仲村が見た3度のエマージェイソン最終回と毒濁刀を捨てたシシレオーと仲村親子【トクサツガガガ(ドラマ) 最終回 考察・感想】

ドラマ版トクサツガガガは全7回という短めの構成で走りきったわけだが、原作から上手く抽出&再構成されており、シリアスとギャグのバランスもよくとても面白かった。

そんなトクサツガガガの原作は、ご存知の通り架空のテレビ番組が好きな女性が主人公の漫画 だ。実写化するあたっては、架空のTV番組自体も実写化する必要が当然でてくる。つまりトクサツガガガに加え、ジュウショウワンとエマージェイソンの3作品が実写化されているイメージだ。この架空のTV番組の絡め方が本当に秀逸な最終回だった。

仲村が見た3度のエマージェイソン最終回

トクサツガガガ最終回では、エマージェイソンの最終回も実写化され、仲村は3度見ている。

1度目は子供の頃にリアタイで。しかし、エンディング中に特撮嫌いのお母ちゃんにテレビを消されたり、自分の好きな物を抑圧された辛い思い出の一つになってしまっているのかもしれない。

2度目は高校の卒業式の日。エマージェイソンのストーリーとシンクロするかのように、特撮が好きだった気持ちを思い出し、エマージェイソンと再開を果たした日だ。今の仲村を作り上げたターニングポイントになった日だろう。仲村をこんな大人にしたのはエマージェイソン、君だ! (にしてもJK小芝ちゃんよかったね。)

おっと、最後に心の声が漏れた。

3度目は、 色々とモヤモヤしていた仲村に、今まで2度見た時の気持ちを思い出させた。自分は特撮が好きであり、それは忘れて消えてしまうことがない気持ち。それを改めて強く思うことができた。だからこそダミアンに「好きな気持は誰にも奪えないよ。」と堂々と言えた。そして、正直な自分のまま、地味な服のまま、お母ちゃんに会いに行く決心がついたのだろう。

にしても仲村の人生とエマージェイソン、2つの物語の絡ませ方が本当に上手い。実写化されたことで、原作以上にストーリーのシンクロによる相乗効果が発揮されているように感じた。

毒濁刀を捨てたシシレオーと仲村親子

巨大松下由樹お母ちゃんの無敵感すごかったね。巨大フジ隊員の不気味さを凌駕したのでは。

それはさておき、お母ちゃんと喧嘩別れしたままになっていたが、エマージェイソンとジュウショウワンに勇気をもらった仲村は、お母ちゃんと向き合うために帰省する。そして帰省途中で見つけたおもちゃ屋さんで気づく。自分の好きをお母ちゃんに抑圧されていたように、自分もまたお母ちゃんの好き(可愛い物)を否定してきたのではないか、と。何より、お母ちゃんは世間一般的な時期に自分自身で可愛いものを卒業している。一方、仲村はいつまでたっても卒業していない。そして、想いを叶ちんに託そうとしたお母ちゃんの好きな物を受け入れず、それを嫌いだと否定した。お母ちゃんにとっては特撮こそが、シシレオー=仲村のもつ毒濁刀に見えていたのかもしれない。

お母ちゃんは一人で二人の子供を一生懸命育て上げたのだ。そして娘が物心付き、自分が好きだった可愛い物を一緒に楽しみたかっただけなんだ…。

それでも、テレビきっず焼き討ち事件はひどいけどな。あぶねえあぶねえ、忘れるとこだった。仲村は可愛い物を焼いたり、取り上げたり、真っ向からやめろと言ったりはしねえよ。お母ちゃんの性格がやっかいなのは紛れもない事実。今は仲間として普通に暮らしてるけど、ベジータがZ戦士やナメック星人虐殺したりし、よその星を侵略したりしてたことは忘れねえ。

とは言っても、仲村にとっては家族なのだ。喧嘩の際に、ああは言ってしまったが、このままにはしておけないことはわかっていた。

途中で、お母ちゃんがジュウショウワンを一瞬見た後にテレビを消すシーンがあったが、相手の好きな物を理解しようとしていたのかもしれない。 ただ、いきなりは受け入れられなかった…とうだけではないだろうか。お母ちゃんもまた、今のお互いの現状に気づき、がんばろうとしていたのだろう。

帰省した仲村は、お母ちゃんに可愛いうさぎのぬいぐるみをプレゼンントとして渡す。お母ちゃんはこれが好きなんでしょ、今も好きなままでいいよ、ということだろう。言葉数が少ない中で二人の気まずくも歩み寄りたい気持ちが表現されていてすごくよかった。 原作でもまだ描かれていないシーンということもあるかもしれないが、 野暮な表現もなくシンプルで、小芝風化さんと松下由樹さんの演技力の高さが光るシーンだった。そこにシシレオーが毒濁刀を捨てるシーンが重なる。お互いに相手の心に歩み寄り、刃を下ろす様子が伝わってきた。

家族であっても、それぞれの人生がある。自分の好きなことを貫く一方で、どこまで相手に干渉していいのかってのは難しい問題だ。(心変わりの末、可愛い物に振り切り過ぎてゴスロリになった松下由樹さんとかに登場されてもそれはそれで困るわけで。 )仲村親子も良いバランスを見つけ、お互い幸せな立ち位置を見つけることができるといいね。

最後は仲村が特オタとして、テレビきっずを買うシーンで締め括りとなるわけだが、非実在甥戦法はめっちゃ使えるし実用的だぞ!私の場合は非実在息子だ。仮面ライダーのベルトを買う時のあるあるすぎる。

NHKドラマ10「トクサツガガガ」オリジナル・サウンドトラック
井筒昭雄
ONE MUSIC RECORDS (2019-02-27)
売り上げランキング: 57

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です